黒澤明監督の映画「影武者」「乱」に出演するなど個性派俳優として活躍した隆大介(りゅう・だいすけ)さんが11日に頭蓋(ずがい)内出血のため亡くなっていたことが22日、分かった。64歳だった。葬儀は親しい知人と事務所スタッフで済ませた。お別れ会の予定はないという。

 隆さんは今月9日、10日と出演作品のプロモーション撮影に参加。12日に事務所との打ち合わせがあったが顔を見せず。「律義な人で連絡なく仕事を休むことはなかったので…」(関係者)と不審に思った事務所スタッフが翌13日の朝、自宅を訪れた。施錠されていたため警察官の立ち会いで、部屋に入ったところ、ベッドの上で亡くなっている隆さんを発見。頭蓋内出血で11日の夜に息を引き取っていたことが判明した。

 遺作は映画「信玄の父〜信虎〜」(金子修介監督)。19年12月に撮影を終えていたが、コロナ禍で公開が今秋に延期されていた。また、海外の連続ドラマや主演映画が決まり、撮影を控えていたところだった。関係者は「糖尿病ではありましたが、体調不良もなく元気でした」と急死に驚きを隠せない。隆さんの携帯電話には11日夕方に後輩の俳優との会話履歴があった。面倒見のいい人で知られ、後輩へのアドバイスなどを送っていたとみられている。

 1975年に仲代達矢宮崎恭子夫妻が始めた俳優育成の「無名塾」に入塾。1期生として研さんを積み、80年には黒澤作品の名作「影武者」で織田信長を演じ、ブルーリボン賞新人賞を受賞。以降、NHK大河ドラマには「峠の群像」(82年)など4作品に出演。個性派俳優として数多くの映画、ドラマに出演した。15年には撮影のために台湾を訪れた際、酔っ払った状態で空港職員に暴力をふるう事件を起こしたが、反省し18年に俳優活動を再開させていた。関係者は「情熱的でかつ、普段は寡黙な人でした。仲代さんと黒澤さんを恩人だとよく話していました」と悼む。趣味は黒澤映画研究。日本の映画史に足跡を残した名脇役が静かに人生の幕を下ろした。

 ◆隆 大介(りゅう・だいすけ)1957年2月14日、東京生まれ。75年に「無名塾」に入塾し、78年「オイディプス王」で初舞台。80年に映画「影武者」に出演し、ブルーリボン賞新人賞。82年のNHK大河ドラマ峠の群像」でエランドール新人賞を受賞した。